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カー用品小売業界の市場は、自動車の保有台数の伸びに比例して確実に成長してきた。
また、平成7年からの規制緩和を受けてさらにビジネスチャンスが膨らもうとしている。
市場規模もタイヤ、アルミホイール、カーナビケーション.カーオーデイオ、ケミカル、車内・車外用品、補修用部品まで加えると、総額4兆円といわれている。
一方、戦後日本の経済成長と比例して成長してきた小売業、卸売業とも一部のコンビニエンスストアやホームセンターなどの新業態を除けば完全に成熟化してしまっている。
こうした成熟した環境の中で、カー用品業界の成長性に目をつけてトヨタ自動車、日本石油など異業種が本格参入してきている。
また、業界最大手のAバックスセブンなどが逆に自動車整備、自動車販売、ガソリンスタンドなどに進出し、事業の幅を広げようとしている。
このように規制緩和の動きに合わせて、各社とも業界の枠を越えて乱戦が繰り広げられ、一部地域ではオーバーストアの様相を呈している。
いずれもその経営コンセプトは、消費者に「トータルカーライフ」を提供することによって消費者の利便性に応え、顧客の固定化を図ろうとするものである。
現在のカー用品関連の小売店の置かれた状況は、こうした厳しい経営環境の中で従来からの個々のタイヤショップ、カー用品ショップなどがどのようにして生き残っていくかが問われている。
一方、アメリカは日本と違い、大規模小売店舗法や車検等の規制もなく、当然のこととしてさまざまな業態のカー用品関連の店がある。
昨年6月にアメリカ流通視察に出かけるチャンスを得たので、極力カー用品関連の店舗を見てきた。
土地の広大なアメリカの中で、チェーン化された大型店の「ペップボーイ」をはじめ「パーツUSA」などは、品揃えは別にして日本のチェーン店と大差がなかった。
しかし、それ以外にも、道路沿いに小型のタイヤシヨツプやショッピングセンターに併設した「ペンスキ」のようなピット主体の店舗もあった。
また、一方ではNTW(ナショナル・タイヤ・ホールセール)、ホールセールクラブのコスコなど低価格・専門店型の店舗も共存している。
このようにアメリカの業態が多様化しているのに比べ、日本のカー用品ショップはややもすれば大型化に注目が集まっている。
しかし、アメリカの例を待つまでもなく、今後の生き残りは、なにも大型店だけがすべてではなく小型店でも十分生き残りが可能である。
そのためには経営者が地域の中で生き残っていく強い意志と、それを実践していくために地域の消費者のニーズを反映させた店づくりを行っていくことが大切である。
具体的には地域に密着した店、品揃え、サービス、人材、マネジメントなどの面で工夫していくことである。
本書は、カー用品関連の小売業に携わる方々やこれから携わる方々に読んでいただきたいと考えている。
そして、今の不況を乗り切る処方菱として活用していただきたい。
なお、本書をまとめるにあたって、商業システム研究センターの波形克彦先生にはアメリカ流通視察でお世話になったのをはじめ、顧問先、取材先の絶大なるご協力をいただいた。
さらに経営情報出版社のご尽力によって完成されたものであることを申し添えたい。
深く感謝申し上げる次第である。
カー用品業界の特性・自動車産業の成長とともに綿カー用品ショップが成長してきた背景には、昭和40年代に始まったモータリゼーションの急速な普及がある。
当時、高度経済成長によって国民所得が急成長し、一般家庭にまで乗用車が浸透し始めた。
ちなみにAバックスの1号店である東大阪店がオープンしたのは昭和49(1974)年、Yハットの1号店である宇都宮南店は昭和50年に開設されている。
それ以降、主要幹線道路の沿道にカー用品ショップが続々と出現し始めた。
それまでは、自動車用品は自動車部品店やガソリンスタンドの片隅でカーマニア向けに細々と売られていた。
その後、国民に経済的なゆとりが生まれて車を利用したレジャーが日常化し、マイカー志向が促進されていった。
そして、家族によるドライブなどを楽しむようなライフスタイルが定着するようになった。
そこで、長時間の快適なカーライフを楽しむための音響機器、カーエアコン、タイヤホイール、車内外用品などのカー用品需要が次々と発生してきた。
さらに、運転免許所持者が若者や女性にも広がり、彼ら独自の個性的なアクセサリーへのニーズが高まり、快適なカーライフがさらに個性化・高級化へと進んでいった。
したがって、カー用品小売業の成長は自動車産業の成長とともに伸びてきていることがわかる。
そこで国内における自動車の保有台数の推移をみると、図表1−1のようになる。
自動車の保有台数は一貫して増加しており、特に乗用車の伸びが著しい。
平成7(1995)年末には3,890万台と昭和45(1970)年の5.9倍に達している。
近年の自動車の保有状況をみると、自動車を1世帯につき1台保有するのにとどまらず、世帯の各個人が保有したり、利用目的に応じて使い分けるために複数台所有する世帯も増えてきている。
ちなみに2人以上の世帯における自動車の保有台数をみると、平成6年には1世帯に1.3台となり、自動車を2台以上保有している世帯の割合も35.3%に達している(図表1−2)。
一方、最近の自動車の販売動向は、新車販売がバブル崩壊後の落ち込みから浮上したものの伸び悩みが目立つ。
日本自動車工業会のまとめによる乗用車の新規登録届け出台数は平成3年から3年連続で前年割れを起こしている。
平成6年からは前年を上回っているが、平成8年は466万台と平成3年の486万台に及ばない。
半面、中古車販売の拡大もあり、バブル崩壊後も自動車の保有台数は年5%前後の伸びを維持している。
自家用乗用車の保有台数は平成8年末で世帯数を上回った。
また、一般家庭での自動車部品・用品の支出額を「家計調査年報」でみると、家計支出に占める自動車部品・用品の支出額は図表−3のような推移をたどっている。
ちなみに昭和55年の4,159円を100とすると、平成8年までの16年間で約3.3倍の伸びを示している。
また、平成3年に一時減少したが、バブル不況にもかかわらず、その後の支出額は増加している。
さらに、地域別の特性をみると全国平均と比べて著しく高い地域と低い地域がある。
一般に関東を平均とすると、北海道・東北・北陸・東海・中国・四国が高く、近畿・九州・沖縄は低い(図表,−4)。
また、都市類型別では、自動車の使用が日常生活に欠かせない「町村」および「小都市」では高く、公共輸送機関を持つ大都市.中都市部では当然低くなっている(図表−5)。
本来、乗用車のカー用品は新車の段階で標準装備されているものもあるが、メーカーの大量生産方式が定着しているため、アクセサリーの追加は限界があった。
そのため、カー用品ショップの取扱商品がその範囲を広げることができた。
このようなカー用品への需要の高まりをうまくとらえて成長したのが、カー用品卸売業が展開したカー用品専門店である。
最近では、カーCD、カービデオ、カーテレビ、カーナビケーションなどが搭載されており、カー用品業界は堅調に推移している。
規制緩和で大きく変わろうとしている薪1995(平成7)年7月の「道路運送車両法」に関する一連の規制緩和や95年8月の日米自動車部品協議の正式合意により、輸入拡大策の一環として自動車部品・用品の規制緩和も進んでいる。
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